「初詣」の語源は?年籠りから生まれた正月の参拝習慣のなりたち
「その年に初めて詣でる」こと
「初詣」は文字通り、新年になって初めて神社やお寺にお参りすることを指します。「初」はその年の最初、「詣」は「もうでる=神仏に参る」。一年の無事や願いを祈るために社寺へ足を運ぶ、正月のなじみ深い習わしです。名前はこの行為をそのまま表しています。
「詣でる(もうでる)」という言葉
「詣でる」は「参る・お参りする」を意味する古い動詞で、「お宮詣り」「お礼詣り」などにも使われます。神仏のもとへ出向いて拝むことを表し、「初詣」はその年の「初めての詣で」というわけです。漢字の「詣」も「いたる・おもむく」という意味を持っています。
起源とされる「年籠り」
初詣の源流とされるのが、**「年籠り(としごもり)」**という習わしです。かつては家長が大晦日の夜から元旦の朝にかけて、氏神様の社に籠もって新年を迎えたとされます。この夜通しの参籠が、やがて大晦日の「除夜詣」と元日の「元日詣」に分かれ、後者が初詣のもとになったと考えられています。
「恵方詣り」とのつながり
近世には、その年の縁起のよい方角(恵方)にある社寺へお参りする「恵方詣り」が行われていました。初詣の習慣には、この恵方詣りの影響も含まれているとされます。どの方角の社へ参るかが重んじられた時代から、しだいに有名な社寺へ参る形へと移っていきました。
鉄道とともに広まった近代の習慣
現在のような「初詣」が広く定着したのは、明治以降、とくに鉄道網の発達と関わりが深いとされます。鉄道会社が沿線の有名社寺への参拝を盛んに宣伝し、恵方にこだわらず人気の社寺へ多くの人が出かけるようになりました。「初詣」という言葉自体も、この近代の中で一般化したと考えられています。
「二年参り」という参り方
大晦日の夜から元日の朝にかけて、年をまたいで参拝することを「二年参り」と呼びます。大晦日のうちに一度参り、年が明けてからもう一度参る形や、除夜の鐘を聞きながら参拝する形などがあります。大晦日の夜から社に籠もった「年籠り」の名残を、もっともよく今に伝える参り方といえます。
元日に限らない「松の内」の参拝
初詣は元日に限られるものではなく、一般には正月の「松の内」(地域によって1月7日や15日まで)の間に参拝すれば初詣とされます。混雑を避けて数日経ってから出かける人も多く、いつまでに参るかは地域や家庭の習わしによってさまざまです。
大晦日の夜に社へ籠もって年を越した古い祈りの形が、時代とともに姿を変え、いまでは新年の風物詩となりました。「初詣」という言葉には、一年の節目に神仏へ手を合わせてきた、長く続く人々の願いが込められています。