「ざんぎり頭」の語源は"散切り"?文明開化の象徴となった髪型の由来
1. 「散切り(ざんぎり)」が語源
「ざんぎり頭」の「ざんぎり」は「散切り(ざんぎり)」で、髪を無造作にざっくりと切ることを意味します。「散」は散らばる、「切り」は切ることで、整えずに散らすように切った髪型を指しています。
2. 丁髷を切った明治の断髪
江戸時代の日本人男性は丁髷(ちょんまげ)を結っていましたが、明治維新後の文明開化とともに洋風の短髪に切り替える人が増えました。丁髷を切り落として短くした頭が「ざんぎり頭」と呼ばれました。
3. 「ざんぎり頭を叩いてみれば」の都々逸
「ざんぎり頭を叩いてみれば、文明開化の音がする」という都々逸(どどいつ)は明治初期の流行語です。この歌は、洋風の髪型にすることが近代化・文明開化の象徴であるという当時の風潮を風刺的に表現しています。
4. 「散髪脱刀令」が契機
1871年(明治4年)に明治政府が出した「散髪脱刀令」は、丁髷を切って散髪にすることと、帯刀をやめることを奨励した法令です。強制ではなく奨励でしたが、これを機にざんぎり頭にする人が急増しました。
5. 最初は抵抗も強かった
丁髷は武士の身分や男性の象徴であり、散髪に対する抵抗も強くありました。「丁髷を切るのは先祖に申し訳ない」「散髪すると風邪をひく」などの理由で散髪を拒む人もおり、新旧の文化の衝突が起こりました。
6. 天皇の断髪が決め手に
1873年(明治6年)に明治天皇が自ら丁髷を切って洋風の髪型にしたことが、ざんぎり頭の普及に大きな影響を与えました。天皇の断髪をきっかけに、それまで迷っていた人々も一気にざんぎり頭に切り替えたとされています。
7. 「ざんぎ」は北海道の鶏肉料理
北海道で鶏の唐揚げを「ざんぎ」と呼ぶのは、「ざんぎり」と語感が似ていますが語源的には異なります。北海道の「ざんぎ」は中国語の「炸鶏(ザージー)」が訛ったとする説が有力で、「ざんぎり頭」との直接の関係はありません。
8. 理髪店の発展
ざんぎり頭の普及とともに、西洋式の理髪店(床屋)が全国に広まりました。江戸時代にも「髪結い」はいましたが、丁髷を結うのではなく洋風にカットする技術が求められるようになり、理容業界は大きく変化しました。
9. 「丁髷」の語源は形の擬態語
対比として、「丁髷(ちょんまげ)」の語源は髷の先端が小さく跳ねた形を「ちょん」と表現した擬態語です。ちょんと小さく突き出た髷という意味で、こちらも見た目がそのまま名前になっています。
10. 文化の転換を示す言葉
「ざんぎり頭」は単なる髪型の名前ではなく、日本が近代化に踏み出した歴史的転換点を象徴する言葉です。髪型一つで文明開化を語れるほど、明治維新は日本人の外見にまで及ぶ大変革でした。
丁髷を散らすように切り落とした「ざんぎり頭」。叩けば文明開化の音がするという冗談の中に、古い時代と新しい時代の境目に立った日本人の戸惑いと期待が聞こえてきます。