「和服」の語源は"和(日本)の服"?洋服との対比で生まれた言葉の由来
1. 「洋服」との対比で生まれた言葉
「和服(わふく)」は「和(わ=日本)」+「服」で日本の伝統的な衣服を意味しますが、この言葉が生まれたのは明治時代以降です。西洋の衣服「洋服」が入ってきたことで、それと区別するために「和服」という呼称が必要になりました。
2. 明治以前は「着物」だけで通じた
明治以前の日本には洋服がなかったため、衣服は「着物(きもの=着る物)」と呼べば十分でした。わざわざ「和」をつける必要がなかったのは、日本の衣服しか存在しなかったからです。
3. 「着物」は本来「着る物」全般を指す
「着物」は「着る物」という意味で、本来はすべての衣服を指す言葉でした。洋服の普及に伴い、「着物=和服」という限定的な意味に変化し、現在では日本の伝統衣装を指す言葉として定着しています。
4. 「和」は「大和(やまと)」の「和」
「和服」の「和」は「大和(やまと=日本)」の「和」です。「和食」「和室」「和歌」「和菓子」など、日本固有のものに「和」を冠する表現は、すべて「洋」との対比から生まれたものです。
5. 着物の種類は数十以上
和服には振袖・訪問着・留袖・小紋・紬・浴衣など数十種類のバリエーションがあり、場面や格式に応じて着分けます。この多様性は洋服の「フォーマル・カジュアル」よりもはるかに細かい分類体系です。
6. 「右前」に着るのが鉄則
和服は右前(右側の衽を先に体に合わせる)に着るのが鉄則で、左前は死装束です。この着方は奈良時代の719年に出された「衣服令」で定められたとされています。
7. 帯の結び方にも種類がある
和服に欠かせない帯の結び方は「お太鼓結び」「文庫結び」「角出し」など多数あります。帯は和服のアクセントとして重要な役割を果たし、結び方によって印象が大きく変わります。
8. 七五三・成人式・結婚式で着る機会
現代で和服を着る主な機会は七五三・成人式・結婚式・卒業式・お正月など、人生の節目の行事です。日常着としての和服は少数派ですが、特別な日の装いとして確固たる地位を保っています。
9. 「KIMONO」は世界語
「kimono」は英語をはじめ世界中で日本の伝統衣装を指す言葉として定着しています。海外のファッション業界では日本の着物からインスピレーションを得たデザインも多く、和服の美は国際的に評価されています。
10. 和服は「直線裁ち」の文化
和服は布を直線に裁って縫い合わせる「直線裁ち」で作られます。体の曲線に合わせて立体的に裁断する洋服とは根本的に異なる構造で、着る人の体に合わせて帯で調整する柔軟性があります。
洋服が来たから生まれた「和服」。日本にはもともと「和」をつける必要のない唯一の衣服文化がありました。名前は新しくても、その中に千年以上の美意識と技術が息づいています。