「桜」の語源は"咲く"の複数形?日本の国花の名前の意外な由来


1. 「咲く」+「ら」が語源とする説

「桜(さくら)」の語源としてもっとも有力なのは、動詞「咲く」に複数・群生を意味する接尾語「ら」が付いた「咲くら=たくさん咲く花」とする説です。一斉に咲き誇る桜の姿が名前に反映されています。

2. 「田の神様(さ)の座(くら)」説

もう一つ有名な説は、「さ(田の神=稲の神)」の「くら(座=居場所)」で、田の神様が山から降りてきて宿る木が桜だとする説です。春に桜が咲くのは田植えの合図とされ、農耕と桜の深い結びつきを示す解釈です。

3. 『古事記』の木花咲耶姫との関連

桜の語源として、日本神話に登場する木花咲耶姫(このはなさくやひめ)の名前「さくや」が「さくら」に変化したとする説もあります。花のように美しく、はかない命を持つ女神と桜のイメージが重なっています。

4. 花見は平安時代から

桜の花見の習慣は平安時代に宮中行事として始まりました。嵯峨天皇が812年に催した「花宴(はなのえん)」が記録に残る最古の花見とされ、以降貴族から武家、庶民へと広がっていきました。

5. ソメイヨシノは江戸時代末期に誕生

日本の桜の代名詞「ソメイヨシノ」は江戸時代末期に染井村(現在の東京都豊島区)の植木職人が作り出した園芸品種です。すべてのソメイヨシノはクローン(接ぎ木による増殖)であり、遺伝的にほぼ同一です。

6. 一斉に咲いて一斉に散る理由

ソメイヨシノが一斉に咲いて一斉に散るのは、遺伝的に同一のクローンであるため、同じ気温条件で同時に開花するからです。この「一斉開花」が日本人の花見文化を支えています。

7. 「桜前線」は日本独自の気象用語

桜の開花が南から北へ移動する様子を追う「桜前線」は日本独自の気象情報です。毎年の開花予想は国民的な関心事であり、ニュースや天気予報で大きく取り上げられます。

8. 「散る桜」は日本美学の象徴

満開の桜よりも散る桜に美を見出す感性は、日本美学の特徴です。「花は桜木、人は武士」という言葉に象徴されるように、散り際の潔さと美しさが日本人の美意識に深く根付いています。

9. 「花より団子」の「花」は桜

ことわざ「花より団子」の「花」は桜のことです。花見に来ても花を愛でるより食べ物のほうに関心がある様子を表しており、花見が食事や宴会と結びついた日本の文化を反映しています。

10. 海外にも広がる「SAKURA」

「sakura」は英語圏でも日本語のまま使われることが増えています。ワシントンD.C.の桜並木は日米友好の象徴として有名で、毎年3月の「全米桜祭り」には世界中から観光客が訪れます。


たくさん咲く花「咲くら」。日本人が最も愛する花の名前には、一斉に咲いて潔く散るこの花の本質が詰まっています。千年以上にわたって花見を続けてきた日本人の桜への想いは、名前そのものが物語っています。