「親指」の語源は"親の指"?指の名前に込められた家族の序列


1. 「親」のように他の指を率いる指

「親指」の語源は、五本の指の中でもっとも太く力強い指が、他の四本の指を束ねる「親」のような存在であることに由来します。家族における親の役割と、手の中での親指の役割を重ね合わせた命名です。

2. 「人差し指」は人を指す指

「人差し指」の語源は、人や物を「差す(指す)」ときに使う指であることに由来します。何かを指し示す際にもっとも自然に伸びる指であり、その機能がそのまま名前になっています。

3. 「中指」は真ん中の指

「中指」は五本の指の「中央」に位置することからその名が付きました。もっともシンプルな命名で、位置がそのまま名前になっています。五本の指の中でもっとも長い指でもあります。

4. 「薬指」は薬を塗る指

「薬指」の名前は、薬を練ったり塗ったりする際にこの指を使ったことに由来するとされています。力の入り具合がちょうどよく、薬を肌に塗るのに適していたためです。「紅差し指」とも呼ばれ、紅を唇に塗る際にも使われました。

5. 「小指」は一番小さい指

「小指」は五本の指の中でもっとも「小さい」ことからその名が付きました。「親」「人差し」「中」「薬」「小」と、それぞれ異なる基準で名付けられているのが日本語の指の名前の面白い点です。

6. 英語の「thumb」は「太い」の意味

英語で親指を意味する「thumb(サム)」は、古英語の「thūma」に由来し、「太い・膨らんだ」を意味するとされています。日本語が家族関係で名付けたのに対し、英語は形状の特徴で名付けたという違いがあります。

7. 「親指を隠せ」の迷信

日本には霊柩車を見たら親指を隠すという迷信があります。親指は「親」を象徴するため、死を連想させる場面で親指を隠すことで親を守るという発想に基づいています。指の名前と迷信が結びついた興味深い例です。

8. 親指は人類の進化の象徴

解剖学的に見ると、親指が他の四本の指と向かい合わせになる「母指対向性」は霊長類、特に人間に顕著な特徴です。この構造によって物をつかむ・道具を使うことが可能になり、人類の文明発展の基盤となりました。

9. 「拇印」は親指の印

「拇印(ぼいん)」は親指で押す指紋の印鑑代わりです。「拇」は親指を意味する漢字で、法的な文書で印鑑がない場合に拇印を押す慣習があります。親指の指紋は面積が大きく判別しやすいことから選ばれています。

10. 親指を立てるジェスチャーの意味

親指を立てるジェスチャーは、多くの国で「良い」「賛成」を意味しますが、一部の地域では侮辱的な意味を持つこともあります。日本では「いいね」「OK」の意味で使われることが一般的で、SNSの「いいね」ボタンにも親指のアイコンが使われています。


家族の長になぞらえて「親」と名付けられた指。日本語の五本の指の名前には、親が子を守り、人を差し、薬をつけ、真ん中に立ち、小さくても存在するという、人間の暮らしの断片が映し出されています。