「柏」(千葉県柏市)の地名の由来は?かしわの木か、川岸の崖か


千葉県北西部の中核都市「柏」

柏市は千葉県の北西部、東京都心と県内を結ぶ交通の結節点として発展した都市です。常磐線と東武鉄道が交わるターミナルを中心に商業がにぎわい、「東の渋谷」と呼ばれることもあります。この「柏」という地名の由来には、いくつかの説が伝わっています。

樹木の「カシワ」に由来する説

もっとも素朴なのが、樹木のカシワ(柏・槲)にちなむという説です。かつてこの一帯にカシワの木が多く生えていたことから地名になったと考えられています。カシワは新しい芽が出るまで古い葉が落ちないことから「家系が絶えない」縁起のよい木とされ、地名や人名に好んで使われてきました。

「茅生(かやふ)」が転じたとする説

別の説として、茅(かや・ススキの類)が生い茂る土地を意味する**「茅生(かやふ)」**が転じて「かしわ」になったとするものがあります。低湿地や原野にカヤが広がる景色から名づけられ、それが「柏」の字を当てられたという考え方です。地形や植生にもとづく地名の典型例といえます。

川岸の地形を表すとする説

「かし」が川岸の崖や水辺を、「は(わ)」が端を表すとして、川沿いの地形に由来するという見方もあります。柏のあたりは利根川や手賀沼に近く、水に縁の深い土地です。ただしこの説は確実な裏づけがあるわけではなく、あくまで諸説のひとつです。

水戸街道沿いに開けた村

江戸時代の柏は、江戸と水戸を結ぶ水戸街道沿いの村「柏村」として、人や物資の行き交う場所でした。隣り合う小金宿と我孫子宿のあいだに位置し、街道の往来に支えられて開けていきます。こうした交通の要としての性格が、後の都市としての発展の下地になりました。地名としての「柏」も、この時代の村名を受け継いだものです。

柏餅にも使われる木

由来説の一つに挙がるカシワは、葉が大きく丈夫なことから、古くは食べ物を盛ったり包んだりするのに使われてきました。端午の節句に食べる柏餅をこの葉で包むのも、その流れをくむものです。地名の由来であってもなくても、カシワが暮らしのなかで身近に役立てられてきた木であることは確かです。

手賀沼とともにあった土地

柏市の南には手賀沼が広がり、古くから漁業や農業の舞台となってきました。明治以降、鉄道の開通とともに住宅地・商業地として急速に都市化し、現在の姿になりました。

カシワの木か、カヤの原か、あるいは川辺の地形か——「柏」の由来は一つに定まっていませんが、いずれの説も、この土地がもともと豊かな自然に囲まれた場所であったことを物語っています。