「じれったい」の語源は?「焦れる」とのつながりと由来
「じれったい」とはどんな気持ちか
「じれったい」は、物事が思うように進まなかったり、相手の反応が遅かったりして、こちらの気持ちばかりが先走っていらだつ状態を表す言葉です。早くしてほしいのにできない、伝えたいのに伝わらない——そんなときに胸の内でくすぶる、もどかしさといらだちが入りまじった感情を言い表します。怒りほど激しくはなく、じわじわと募っていくのがこの言葉の表すところです。
「焦れる」から生まれた言葉
「じれったい」は、動詞「焦れる(じれる)」に由来すると考えられています。「焦れる」は、思うようにならずに気をもむ、いらだつという意味の言葉で、その状態を形容詞的に表したものが「じれったい」とされます。「じれる」という動きのある言葉から、「じれったい」というその状態を描く言葉へと派生した関係にあるとみられ、語の中心にあるのは「焦り」の感覚です。
「焦」の字が示す焼けるような心
「焦れる」の「焦」という字は、火に関わる字で、こげる・焼けるという意味を持ちます。気持ちが「焦る」「焦れる」と表現されるのは、思うようにいかないいらだちを、心が焼けるような感覚にたとえたものと考えられます。じりじりと照りつける日差しを「じりじり」と言うように、内側からあぶられるような落ち着かなさが、「じれる」という言葉には込められています。
促音「っ」が強める語感
「じれったい」には、つまる音(促音)の「っ」が入っています。この「っ」は語調を強め、いらだちの感じをいっそう強く響かせる働きをしていると考えられます。日本語には、感情や様子を表す言葉に促音を加えて勢いを強める傾向があり、「じれったい」もその一例とみることができます。もとになった「焦れる」の気持ちが、音の上でも強調されているといえます。
「歯がゆい」との近さと違い
「じれったい」とよく似た言葉に「歯がゆい」があります。どちらも思うようにならないもどかしさを表しますが、「歯がゆい」は、見ていて物足りない、もっとできるはずなのにという、対象への評価がにじむことが多い言葉です。一方「じれったい」は、進まない状況そのものへのいらだちに重心があります。重なり合いながらも、視点の置きどころが少しずつ違う言葉といえます。
「もどかしい」「まだるっこい」との関係
「もどかしい」も「じれったい」に近い言葉で、思うように進まずもやもやする気持ちを表します。さらに「まだるっこい」「まどろっこしい」となると、手間取って回りくどい、てきぱきしないという意味合いが強まります。いずれも「速く進んでほしいのに進まない」という共通の感覚を土台にしながら、いらだち・もどかしさ・まどろっこしさといった微妙な差を担い分けています。日本語には、この種の「待たされる気持ち」を表す言葉が豊富にそろっています。
日常で使われる場面
「じれったい」は、会話や物語の中でさまざまな場面に登場します。なかなか結論を言わない相手に「じれったいなあ」とこぼしたり、思いを伝えられない登場人物の心情を「じれったい関係」と表したりします。恋愛のもどかしさを言い表すときにもよく使われ、すれ違いや遠回りがもたらす切なさを含んだ言葉として親しまれています。否定的ないらだちだけでなく、どこか愛おしさをにじませて使われることもあるのが特徴です。
「じれったい」が映す心の動き
「じれったい」という言葉は、「焦れる」という、心が焼けるようにいらだつ感覚を出発点に、思うようにならない状況へのもどかしさを言い表すものとして使われてきました。怒りでも悲しみでもない、進まないものを前にじりじりと募っていく独特の感情を、ひとことで言い当てる言葉です。「歯がゆい」「もどかしい」といった近い言葉と並べてみると、日本語が人の心の細かなゆれを、どれほど丁寧にすくい取ってきたかがよく見えてきます。