「伊香保」の地名の語源は"厳つい穂"?万葉集にも詠まれた温泉地の由来
1. 「厳つ峰(いかつほ)」が語源とされる
「伊香保(いかほ)」の語源としてもっとも有力なのは、「厳つ峰(いかつほ)」が変化したとする説です。「厳つ(いかつ)」は荒々しい・厳めしいという意味の古語で、「峰(ほ)」は山の頂を指します。榛名山の険しい山容を表した地名と考えられています。
2. 万葉集に「伊香保」の歌がある
『万葉集』の東歌(あずまうた)には、「伊香保」を詠んだ歌が複数収録されています。「伊香保ろのやさかのゐでに立つ虹の」など、奈良時代にすでに伊香保は歌に詠まれる地として知られていたことがわかります。
3. 榛名山との深いつながり
伊香保温泉は榛名山の中腹に位置しています。古代においては「伊香保」は現在の伊香保温泉周辺だけでなく、榛名山全体を指す地名であった可能性があり、山岳信仰の対象としての榛名山と伊香保の地名は切り離せない関係にあります。
4. 石段街は400年の歴史
伊香保温泉のシンボルである石段街は、戦国時代の武将・長尾景仲が温泉地を整備した際に原型が作られたとされ、約400年の歴史があります。現在の365段の石段は「温泉街が一年中にぎわうように」という願いを込めて整備されました。
5. 「黄金の湯」と「白銀の湯」
伊香保温泉には二種類の源泉があります。鉄分を含み茶褐色に濁る「黄金(こがね)の湯」と、無色透明の「白銀(しろがね)の湯」です。黄金の湯は古くから知られる源泉で、鉄分が空気に触れて酸化することで独特の色になります。
6. 与謝野晶子も訪れた文学の地
伊香保は文人墨客に愛された温泉地で、与謝野晶子・徳冨蘆花・竹久夢二など多くの文化人が訪れています。徳冨蘆花は伊香保を舞台にした小説『不如帰(ほととぎす)』を著し、伊香保の名を全国に広めました。
7. 「伊香保」の名を持つ神社
伊香保神社は石段街の最上部に鎮座する神社で、温泉の神を祀っています。社名に「伊香保」の地名がそのまま使われており、地名と信仰が一体となった例です。毎年9月に行われる例大祭は地域の重要な行事です。
8. 群馬県は温泉大国
伊香保が位置する群馬県は、草津・四万・万座・水上など全国的に有名な温泉が集中する「温泉大国」です。伊香保はその中でも草津とともにもっとも歴史が古い温泉の一つとされ、群馬の温泉文化の中核を担っています。
9. 「伊」で始まる温泉地名は多い
日本の温泉地名には「伊」で始まるものが多くあります。伊香保・伊東・伊豆・伊勢など、「伊」は古代において地名の接頭語的に使われた漢字の一つで、特定の意味よりも音を当てた万葉仮名的な用法とされています。
10. 伊香保の水沢うどんは日本三大うどん
伊香保温泉の近くにある水沢地区の「水沢うどん」は、讃岐うどん・稲庭うどんとともに日本三大うどんの一つに数えられることがあります。400年以上の歴史を持ち、コシのある透明感のある麺が特徴です。温泉と美食、伊香保は両方を楽しめる場所です。
荒々しい山の峰を意味する古語から名付けられた「伊香保」。万葉の歌人が詠み、明治の文豪が愛し、現代の旅人が石段を登る。千三百年の歴史を持つこの温泉地の名は、榛名山の厳しくも美しい姿を今に伝えています。