「はしご酒」の語源は"梯子を渡るように店を移る"?飲み歩きの言葉の由来


1. 「梯子を上るように店を移る」が語源

「はしご酒(はしござけ)」は、梯子(はしご)の段を一段ずつ上るように、次から次へと飲み屋を渡り歩くことを意味する言葉です。一軒で終わらず複数の店を巡る飲み方を梯子に喩えた命名です。

2. 「はしご」は「梯子」と書く

「はしご」は漢字で「梯子」と書きます。「梯」は段のある登り道具、「子」は道具を指す接尾語です。高い所に登るための道具が、酒場を巡り歩く行為の比喩に使われました。

3. 江戸時代の飲み文化から

はしご酒の文化は江戸時代に遡ります。江戸には多くの居酒屋があり、一軒で飲んだ後に別の店に移って飲み続ける習慣がありました。場所を変えて気分を変える楽しみが「はしご」として表現されました。

4. 一次会・二次会・三次会の日本文化

日本の飲み会では「一次会」「二次会」「三次会」と場所を変えて続けることが多く、これは「はしご酒」の延長線上にある文化です。場所を変えることで新たな会話やメンバーの組み替えが生まれます。

5. 「はしごする」は動詞化した

「はしご酒」から「はしごする」という動詞が生まれました。「飲み屋をはしごする」だけでなく、「ラーメン屋をはしごする」「カフェをはしごする」のように、酒に限らず店を巡り歩く行為全般に使われるようになっています。

6. 関西では「はしご」文化が特に盛ん

大阪の新世界やミナミ、京都の先斗町など、関西では小さな飲み屋が密集する地域が多く、はしご酒の文化が特に盛んです。一軒あたりの滞在時間を短くして多くの店を巡るスタイルが好まれます。

7. 「せんべろ」ははしご酒と相性が良い

「せんべろ(千円でべろべろに酔える)」は安価な立ち飲み屋で使われる俗語で、はしご酒と相性の良い文化です。一軒千円程度で飲んで次の店に移るスタイルは、はしご酒の経済的な楽しみ方です。

8. 「角打ち」もはしご酒のルーツ

酒屋の店先で立ち飲みする「角打ち(かくうち)」も、はしご酒の文化と関連しています。手軽に一杯だけ飲んで次に移れる角打ちスタイルは、はしご酒の原型的な飲み方ともいえます。

9. 海外の類似文化「パブクロール」

海外にも「pub crawl(パブクロール)」という複数のバーを巡り歩く文化があります。「crawl(這う)」は酔って這うように移動する様子を表しており、日本の「はしご」とは別の比喩で同じ行為を描写しています。

10. 健康面では注意が必要

はしご酒は楽しい飲み方ですが、場所が変わるたびにリセットされる感覚から飲みすぎやすいという面があります。適度な量を心がけることが、はしご酒を長く楽しむための大切なポイントです。


梯子を一段ずつ上るように店を巡る「はしご酒」。一軒で満足せず次の店に向かう好奇心と、場所を変えて出会う新しい味と会話。はしご酒は日本の夜を豊かにする飲み文化の粋です。