「餃子」の語源は?満州からの引揚者が広めた中国語由来の食べ物


1. 「餃子」は中国語「餃子(jiǎozi)」の日本語読み

「餃子」という言葉は、中国語の**「餃子(jiǎozi)」**をそのまま漢字で受け取り、日本語の音読みで「ギョウザ」と読んだものです。中国語の発音は「ジャオズ」に近く、日本語の「ギョウザ」とはかなり異なります。漢字自体を輸入し、日本語読みにした典型的な例です。

2. 「餃」の字は小麦粉の皮で包んだ食べ物を意味する

「餃」という漢字は、食べ物を表す「食偏(しょくへん)」に「交(こう)」を組み合わせた字です。「交わる・包む」というニュアンスを持ち、小麦粉の皮で具を包んだ食べ物を指します。中国では水餃子・蒸し餃子・焼き餃子など様々な種類があり、総称として「餃子」が使われています。

3. 中国では水餃子が主流、焼き餃子は日本式

中国での餃子の主流は**水餃子(すいぎょうざ)**です。茹でてそのまま食べるスタイルが一般的で、焼き餃子(鍋貼:guōtiē)は水餃子の食べ残しを翌日フライパンで焼いたものが起源という説もあります。日本で焼き餃子が主流になったのは、日本独自の進化によるものです。

4. 日本への伝来は満州からの引揚者がきっかけ

餃子が日本に本格的に広まったのは第二次世界大戦後のことです。終戦後、満州(現在の中国東北部)や中国各地から帰国した引揚者たちが、現地で食べていた餃子の作り方を日本に持ち帰りました。引揚者の多かった地域で餃子食文化が根付いたとされています。

5. 宇都宮が「餃子の街」になった理由

栃木県宇都宮市が餃子の名産地として知られる背景には、戦後の引揚者の存在があります。宇都宮には満州・中国から帰還した軍人や民間人が多く定着しており、彼らが餃子を広めたとされています。また、かつて宇都宮に駐留していた第14師団が満州に派遣された歴史も関係していると言われています。

6. 浜松餃子との「餃子戦争」

宇都宮市と静岡県浜松市は、餃子の消費量をめぐって長年「餃子の聖地」の座を争ってきました。総務省の家計調査では両市が交互にトップを占め、その競争は「餃子戦争」とも呼ばれています。浜松餃子はキャベツと玉ねぎを多く使い、もやしを添えるスタイルが特徴です。

7. 餃子の歴史は2000年以上

中国における餃子の歴史は非常に古く、後漢時代(1〜2世紀)の医師・張仲景が薬膳として作ったのが起源という説が有名です。小麦粉の皮に薬草と羊肉を包んで茹でたものを凍えた患者に食べさせたとされており、これが餃子の原型という伝承が残っています。

8. 中国では正月に餃子を食べる習慣がある

中国では旧正月(春節)に餃子を食べる習慣があります。餃子の形が昔の金銀の延べ棒(元宝)に似ているとされ、財運を呼ぶ縁起物として食べられます。大晦日の夜に家族で餃子を包む光景は、中国の正月の風物詩です。

9. 「ギョーザ」「ギョウザ」表記の揺れ

日本語では「ギョウザ」「ギョーザ」の両方の表記が使われます。辞書的には「ギョウザ」が正式ですが、会話や商品名では「ギョーザ」もよく目にします。中国語の「jiǎozi」からすると、どちらも原音とは大きく異なる日本語化した発音です。

10. 冷凍餃子の革命が日本の餃子文化を変えた

1969年に味の素冷凍食品(当時の名称)が家庭用冷凍餃子を発売し、その後各社が参入したことで冷凍餃子市場が形成されました。フライパンひとつで手軽に作れる冷凍餃子の普及は、餃子を日本の家庭料理として定着させる大きな転機となりました。現在、冷凍餃子の国内市場規模は年間数百億円規模に達しています。


「ギョウザ」という響きはすっかり日本語に溶け込んでいますが、その言葉は中国語の「jiǎozi」から旅してきました。満州から引揚者の手によって持ち帰られ、宇都宮・浜松での地域文化を経て、今や冷凍食品として家庭の食卓に欠かせない存在になった餃子。語源をたどると、日中の食文化交流の歴史が見えてきます。